国のIT実証事業の意味

経済産業省「ITとサービスの融合による新市場創出事業」について。

オフィシャルな説明は下記のとおり。

本事業は、最新のITとサービスを融合させ、多様な国民ニーズに直結した新情報産業サービス産業の創出を目指しています。そのため、サービス工学研究により、情報蓄積・解析技術等の要素技術群を「要素技術プラットフォーム」として、そのプラットフォームを基に要素技術の組合せによって新市場を創出するサービス工学の研究を行うとともに、公的・社会的な分野において、ユーザ起点・人間起点・生活起点の新たな実証を行います。

実証事業の中でも、ITによる商業空間の創出をテーマとしたe空間分野が面白い。
マップ上にお気に入り情報を付与する街なかショーシャルブックマークアプリ「pin@clip」やTV番組コンテンツをマップ上に配置した「ブラアプリ」など、技術面ではセカイカメラと似たようなものだ。
しかし、国が実証事業を実施した意味は技術的目新しさではなく、商店や放送局、有名コンテンツ(pin@clipの場合は、電脳コイルドラえもん)とのアライアンス形成を実施し、サービスを実証したら、これくらいのインパクト・利用者数がある、ということを世に示せたことにある。また、実証事業をもって世にサービスの一例をアピールすることで、新サービスの創出を誘発する効果もある。

なお、開発された技術自体はバイドール条項により、委託先に帰属するが、実は、委託先は国費補助がなくなってからのビジネスモデルを構築できておらず、前述したアプリは既にサービスを中止している状況。(本委託事業は、21年度末まで。)
ちなみに、twitterでつぶやいたらハンズと無印良品の在庫を知らせてくれるコレカモネットは、サービス自体に広告効果があるため、事業修了後の現在もサービスを実施中。

22年度事業では、新たに3つの実証事業を予定していると聞いているので、こちらにも期待したい。